営業戦略にフレームワークを活用しよう!メリットや実践事例を紹介

「営業戦略をどのように考えて設定したらいいかわからない」

「フレームワークを活用して効果的な営業戦略を策定したい」

営業戦略の策定にあたっては、考慮すべきことが多すぎて、どのように策定していけばいいかお悩みの方が多いと思います。

本記事では、営業戦略策定に有効なフレームワークを8つ紹介します。

さらに、フレームワークを活用した営業戦略の立て方を、ステップ形式でわかりやすく解説。

あなた自身で、フレームワークを活用した営業戦略の策定ができるようになります。

ぜひ、ご覧ください。

営業戦略とは効率的に目標を達成するための道筋のこと 

営業戦略とは、効率的に目標を達成するための道筋のことです。

営業戦略は、経営資源である「ヒト、モノ、カネ、情報」を適切に把握して方向性を示すことで、効率的な目標達成を実現が可能となります。

どんな目標を立てる場合でも、実現が可能な経営資源がなければ叶いませんし、方向性が間違っていれば達成できません。

まずは、自社の現状を把握することが重要です。

自社の現状を把握しなければ、場当たり的な仕事しかできず、目標を達成するまでに多大な時間と労力を必要とするでしょう。

そして、自社を把握するのに最も適した方法は、フレームワークの活用です。

フレームワークを元に、自社の状態を適切に把握することで、これから執るべき戦略の策定が可能となります。

営業戦略はシナリオ・営業戦術は具体的手法 

営業戦略と似た言葉に「営業戦術」がありますが、違いは何でしょうか。

両者の定義を表にしました。

営業戦略効率的に目標を達成するための道筋
営業戦術決定した計画を誰がどのように実行するかを策定する手段

営業戦略は、効率的に目標を達成するための道筋です。

目標達成を見据えた全体の筋書きを作成し、計画通りに進めるための手段といえます。

どのような具体的施策を行っていくか、経営資源の把握や各種数値などを参考に策定します。

一方、営業戦術は、決定した計画を誰がどのように実行するかを策定する手段をいいます。

自社の経営資源をどのように配分し、実行していくかが鍵です。

戦略ありきで戦術を立てなければ、経営資源が集中せず、成果が場当たり的なものとなってしまうでしょう。

目標を達成するためには、戦略と戦術をしっかり策定し、実行していくことが必要なのです。

営業戦略を策定する重要性とは 

営業戦略を策定することの重要性とは何でしょうか。

まずは、営業戦略を策定しないことによる3つの弊害を見てみましょう。

  • 営業戦略が未策定だと営業活動が属人化し、一貫性や論理性が失われる危険性がある
  • やるべきことが定まらず施策が分散する
  • 無駄なコストや負担が増える

「営業戦略が未策定だと営業活動が属人化し、一貫性や論理性が失われる危険性がある」

営業戦略が策定されていないことで、営業活動の方法が共有されない、ターゲットや市場が絞れず、的外れな営業活動をしてしまうなどの危険性があります。

「やるべきことが定まらず施策が分散する」

ターゲットや市場が絞れない場合、営業力が分散することはもちろん、施策も一貫性のないものとなってしまうでしょう。

「無駄なコストや負担が増える」

成果に繋がらない行動が増えるため、無駄な費用や支出が増えます。

営業戦略の策定は、一貫性と論理性を有し、組織を効率化することです。

目標の達成には、効率化が必要なことから、営業戦略策定の重要性は高いといえるでしょう。

営業戦略の策定にフレームワークを活用する2つのメリット 

営業戦略の策定にフレームワークを活用するメリットは、主に以下の2つが挙げられます。

  • 営業戦略の策定を効率化できる
  • 現状を客観視しやすくなり課題発見がスムーズになる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

営業戦略の策定を効率化できる 

営業戦略の策定にフレームワークを活用することで、戦略策定を効率化できます。

フレームワークとは、対象の情報を整理するための枠組みをいいます。

手順や考え方があらかじめ決まっているので、営業戦略策定に必要な情報を効率的に整理できます。

気をつけておきたいのは、営業目標に対してどのようなフレームワークを活用するかを適切に選択することです。

情報の整理といっても、どんな切り口で考えるかによって出てくる情報の内容が異なります。

営業目標に対して必要となるフレームワークを意識して、営業戦略の策定を効率的に行っていきましょう。

現状を客観視しやすくなり課題発見がスムーズになる 

営業戦略の策定にフレームワークを活用することで、自社の現状を客観的に把握でき、課題の発見がスムーズになります。

例えば、「売上が低迷している」という場合、「営業担当者の不足」「市場の衰退」「競合他社の台頭」など、さまざまな原因が考えられます。

そこでフレームワークを活用し、現状を把握することで、考えられる原因の中から重要なものが見つかる場合もあります。

全く予期していなかった原因が浮き彫りになる場合もありますので、しっかり活用していきたいですね。

営業戦略策定に役立つ8つのフレームワーク 

営業戦略策定に役立つ8つのフレームワークをご紹介していきます。

これらのフレームワークは独立した方法ですが、間接的に関連し合いますので、それぞれの関係性を考えながら活用していきましょう。

1.3C分析 

3C分析は、下記の3つの切り口で、自社を取り巻くマクロ環境を分析する方法です。

Customer:市場・顧客事業の市場規模、購買決定者など
Competitor:競合競合他社の数、参入障壁の高さなど
Company:自社自社の強みや弱み、経営資源の有無など

外部から内部へ分析を行うという特徴があります。

まず、市場・顧客分析で、市場の傾向や自社事業における見込客の属性を把握しておきます。

次に、競合分析で、競合している他社を把握します。

最後にそれらを踏まえて、自社の強みや弱み、経営資源の有無などを分析して、戦略策定を行います。

2.SWOT分析 

SWOT分析は、自社を取り巻く内部環境と外部環境を分析して、自社の現状を適切に把握する方法です。

下記の4つの要因を分析します。

「内部環境」

Strength:強み技術力が高い、安価な仕入れルートなど
Weakness:弱み生産力が低い、拠点が少ないなど

「外部環境」

Opportunity:機会シニア世代の増加、在宅時間の増加など
Threat:脅威競合他社の増加、市場の縮小など

自社の現状分析とともに、具体的な実行戦略を策定できることが特徴です。

注意点として、強みと弱みについては、主観を排除し、客観的な視点で作成しましょう。

機会と脅威については、2〜3年後を予測して作成することが大切です。

3.STP分析 

STP分析は、下記の3つの要素からターゲットを特定し、自社の立ち位置を明確化するために用いられる方法です。

Segmentation:セグメンテーション市場・顧客の属性・地域など、さまざまな切り口で同質のニーズを持つ顧客ごとに細分化する
Targeting:ターゲティング細分化した市場や顧客の属性のなかから、自社がアプローチすべきターゲットを定める
Positioning:ポジショニングターゲットに対して、自社の商品やサービスの明確な差別化を図る

大切なことは、自社にとって意味のある顧客層の特定を行うことです。

限られた経営資源を有効かつ効果的に使用するための方法を導き出しましょう。

4.VRIO分析 

VRIO分析は、下記の4つの切り口から、自社がどのような経営資源を所有しているかを分析するための方法です。

Value:価値市場に対してどのような価値を有しているか
Rarity:希少性自社の経営資源はどれほどの希少性があるか
Imitability:模倣可能性他社がどのくらい自社を模倣しやすいか
Organization:組織体制最適な組織体制が構築されているか

自社の経営資源の強みや弱みを深く理解できるという特徴があります。

持続的な競争優位性を確保するために、自社がどのような経営資源を有しているか確認しましょう。

5.4P分析 

4P分析は、ターゲットに働きかけるための4つの要素を、売り手側の視点で考えたものです。マーケティング・ミックスとも呼ばれ、下記の要因を組み合わせて展開します。

Product:製品品質、デザイン、ブランド名など
Price:価格標準価格、値引き価格、取引条件など
Place:流通流通チャネル、流通範囲、立地など
Promotion:プロモーション販売促進、広報活動、キャンペーンなど

ターゲットを40代前半のビジネスマンと設定した場合、上記の要因を切り口にして、何をいくらでどこでどのように売るのかを考えます。

6.4C分析 

4C分析は、ターゲットに働きかけるための4つの要素を、買い手側の視点で考えたものです。下記の要因を組み合わせて展開します。

Customer Value:顧客価値商品・サービスを通じて得られる価値
Customer cost:顧客コスト商品・サービスを利用するために必要となるコスト
Convenience:利便性商品・サービスの認知、利用、情報拡散までの利便性
Communication:コミュニケーション顧客とのコミュニケーションの取り方

上記の要因を切り口にして、有効的な働きかけを考えましょう。

7.バリューチェーン分析 

バリューチェーン分析は、自社の事業活動を主活動と支援活動に分けて、各機能を分類し、どの機能でどのような付加価値を生み出しているかを分析する手法です。

「主活動」

  • 仕入れ
  • 製造
  • 出荷
  • 販売・マーケティング
  • サービス

「支援活動」

  • 全般管理
  • 人事・労務管理
  • 調達
  • 研究開発

自社の強みがどの機能によるものかを導き出せるという特徴があります。

競合他社の分析も行うことで、自社の強みと弱みがより明確になり、具体的な戦略策定が可能となります。

8.ロジックツリー 

ロジックツリーは、課題を構成する要因を分解していくことで、全体像を把握し、目標達成を阻害する原因や解決方法を発見する方法です。

例えば、飲食店で「売上が上がらない」という課題があった場合、「発行する広告数が少ない」「SNS集客を行っていない」「地域の情報誌に掲載していない」などの原因が考えられます。

1度分解して出た要因を、さらに分解していくという作業を繰り返すことで、本質的な課題を導き出せるという特徴があります。

一つひとつの課題を可視化することによって、原因や解決方法を最短時間で見つけ出すことができます。

フレームワークを活用した営業戦略の立て方の例 

フレームワークを活用して実際に営業戦略を立てていきます。

ここで大切なことは、営業戦略策定に当たって使用するフレームワークは、1つではないということです。

方法もあらゆる組み合わせが考えられます。

今回は、4P分析、3C分析、SWOT分析を使った例をご紹介します。

ステップ1:4P分析で価格から決定する 

まず、ターゲットに働きかけるための4P分析を行います。

価格から決定していきましょう。

目標となる売上・利益率を達成するために、適切な価格(いくらで製品を売るか)を求めます。

初めに価格を決めることにより、逆算して販売の目標を策定することが可能となります。

価格が決まったら、製品を決定します。

求めた価格の価値に見合う製品を決定しましょう。

次にプロモーションの決定です。

製品の特徴を踏まえて、どのように顧客に知ってもらうかを決定します。

最後に、流通の決定となります。

その製品をどのように販売するかを決定します。

店舗販売やネット販売など、製品とターゲットに合った訴求の方法を考えましょう。

ステップ2:3C分析・SWOT分析で現状を把握し課題を抽出する 

3C分析でその製品市場で成功する要因は何かを分析します。

製品市場の規模、購買行動などを分析し、どのような顧客がいるかを把握しましょう。

次にその製品と競合している他社の分析を行います。

分析が完了したらそれらの結果を踏まえて、自社がその製品市場で成功する要因を分析しましょう。

競合と自社の分析に当たっては、SWOT分析を活用します。

自社の強み・弱み・機会・脅威を明確にして、自社の状況を把握しましょう。

分析はこれで終わりです。

ステップ3:戦略を策定する 

いよいよ戦略の策定に入りますが、その前にこれまで行ってきた分析結果を見比べてください。

分析してきた情報の中に矛盾しているものがあれば、再度見直しを行いましょう。

確認ができたら、策定に入ります。

箇条書きで構いませんので、分析結果を踏まえて、自社が執る具体的な行動計画を思い付くだけ書き出しましょう。

このとき、目標のことを考慮する必要はありません。

書き出しが終わったら、自社の経営資源と目標を踏まえて、必要な行動計画を取捨選択していきます。

最後に行動計画をスケジュール表にまとめれば完成です。

営業戦略策定にフレームワークを活用するときの注意点 

フレームワークは有効な手法ですが、適切に活用しないとその効果は期待できません。

1度策定したら終わりというものでもなく、継続的な見直しが必要となります。

営業戦略策定にフレームワークを活用するときは、以下の3点に注意して適切に活用しましょう。

戦略策定に時間をかけすぎない 

戦略を策定する際に時間をかけすぎないよう注意しましょう。

売上に直結する重要な戦略策定ですが、初めから完璧を求める必要はありません。

なぜなら、全てのフレームワークを完璧にして情報を抽出していくと、膨大な情報量になってしまい、処理しきれない可能性が出てくるからです。

その結果、適切な行動計画の落とし込みが難しくなってしまうかもしれません。

大切なことは、策定した行動計画をしっかり実行していくことです。

思考作業ばかり先行してしまわないように、バランスよく実施していきましょう。

複数のフレームワークで多面的に分析する 

フレームワークの活用に当たっては複数の手法を用いて多面的に分析しましょう。

1つのフレームワークで分析できる内容は、その対象の一部分でしかありません。

例えば、3C分析では市場・顧客・競合の外部分析と自社の内部分析を行うフレームワークですが、自社の内部要因を深掘りするような分析は行えません。

多数の経済的要因が絡む営業戦略の分析に当たっては、あらゆる角度から分析を行うことが重要です。

さらに、活用するフレームワークは、矛盾が生じないように関連性の高いものを選びましょう。

フレームワークを適切に活用することで、自社の現状を的確に把握することが可能となり、効率的な戦略策定が行えます。

PDCAサイクルを回して分析する 

策定した行動計画を実行に移した後は、定期的にPDCAサイクルを回してデータの収集と、行動計画の見直しを行いましょう。

経済は常に変化しているため、1度分析した内容が合わなくなる可能性がありますし、初めの分析に誤りがある可能性もあります。

例えば、分析当時は強みだった要因が、市場の変化で弱みになっている場合や、その逆があるかもしれません。

営業戦略策定にフレームワークを用いていれば、引き続き同じフレームワークの枠組みで考えることができるので効率的です。

常に最新の経済情勢を反映した営業戦略を策定しましょう。

まとめ

営業戦略策定に使えるフレームワークとその活用方法について解説しました。

ぜひ、この記事のフレームワークを参考に自社の営業戦略の策定にお役立てください。

今回ご紹介したフレームワークは、現在も使われているもので有効性が認められているものが多いです。

しかし、なかには時代の流れとともに効果がなくなっていくものや、柔軟な発想を阻害してしまうものなどもありますので、活用の際には十分注意してください。

これらの判断を行うには、高度な知識と豊富な経験を持つ専門家が必要となります。

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