営業職は、採用コストが高く人材確保も難しいため、効率的な採用プロセスを構築することが求められます。
しかし、採用単価や具体的なコスト削減のポイントが分からず、悩んでいる方も多いことでしょう。
本記事では、営業職採用の単価相場とコスト削減のポイントを詳しく解説します。採用コストを削減し、より効率的に人材を採用するためにぜひ参考にしてみてください。
営業職の有効求人倍率
営業職は、ほかの職種と比較して採用が難しくなっています。
採用の難易度を測るために、参考になるデータは有効求人倍率です。以下、営業職の有効求人倍率と併せて営業職の採用の現状を解説するのでご覧ください。
有効求人倍率とは
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを表す指標です。ハローワークの求人数と求職者数のデータをもとに、厚生労働省が毎月発表しています。
- 求人倍率が1を上回る:求人数が多く求職者側が有利
- 求人倍率が1を下回る:求人数が少なく企業側が有利
この指標は経済状況と連動しており、数値によって売り手市場か買い手市場かが分かります。また、都道府県別や職種・業種ごとのデータがあります。
営業職の有効求人倍率
令和5年3月の有効求人倍率は、以下のようになっています。
職種 | 有効求人倍率 |
---|---|
一般事務 | 0.42 |
機械検査 | 1.31 |
運搬 | 1.37 |
情報処理・通信技術者 | 1.54 |
清掃 | 1.87 |
営業 | 2.06 |
医師・薬剤師 | 2.17 |
介護サービス | 3.44 |
建築・土木技術者 | 5.62 |
このように営業職の有効求人倍率は1を上回っており、建築や医師・介護に続いて高い数値となっています。
また、職種を問わず統計した全体の有効求人倍率は1.32倍です。しかし、営業職含め販売職全体の有効友人倍率は1.98と高い傾向が見られます。
つまり営業職は求人数が多く、求職者にとって有利なため自社を選んでもらえる可能性が比較的低いといえるでしょう。
採用単価とは?採用コストとの違い
採用コストと採用単価はどちらも採用関連の費用ですが、以下の違いがあります。
- 採用コスト:採用活動全般にかかるコスト
- 採用単価:営業職1人あたりの採用コスト
まずは、採用コストに含まれるコストを具体的に見ていきましょう。
内部コスト
内部コストは、社内で発生した費用のことです。例えば、以下の費用が内部コストに含まれます。
- 採用担当者の人件費
- 求職者の交通費
- リファラル採用の報酬
採用担当者の人件費の内訳には、遠方であった場合の交通費や宿泊費も含まれます。
また昨今はリファラル採用(自社の社員から友人などを紹介してもらう採用方法)に注力してるところもあり、採用に至った場合の推薦者に支払う報酬も見落としがちな点です。
外部コスト
外部コストは、社内の従業員ではなく外部のサービスを利用した際にかかる費用のことです。採用にあたって自社だけでは補えないことや、効率化のために利用します。
外部コストには、以下のような費用があります。
- 求人広告の掲載費
- Web面接ツールの利用料
- 採用パンフレットの制作費
- 企業説明会や面接の会場費
外部のサービスやツールを利用することで、効率的かつ効果的な採用活動が可能です。
ただし内容によっては費用対効果が見合わないこともあるため、事前に費用対効果やROIを計算しておくとよいでしょう。
採用単価の計算方法
前述した通り、採用単価は1人あたりの採用コストです。採用単価を算出する場合は、以下の計算式を使用します。
採用活動では採用コストに注目しがちですが、採用単価も重要な指標です。5人採用するのに450万円かかった場合と、2人採用するのに200万円かかった場合では後者の方が採用単価が高くなります。
なお平均採用単価は1人あたり90〜100万円前後が多く、90万円以下で採用ができればコストを抑えられているといえるでしょう。
営業職の採用単価の相場
それでは、営業職の採用単価はいくらなのでしょうか。
新卒と中途採用の2パターンに分けて、それぞれ採用単価を解説します。
【新卒採用】営業職の平均採用単価
営業職の平均採用単価は、企業の従業員数によっても異なります。
以下、新卒のケースを表にまとめたので参考にしてください。
従業員数 | 採用単価 |
---|---|
5,000人〜 | 59.9万円 |
1,000〜4,999人 | 72.9万円 |
300〜999人 | 80.2万円 |
〜300人 | 65.2万円 |
参考:2019就職白書
企業の従業員数が少なくなればなるほど、採用単価が高い傾向にあります。規模の大きい企業は採用をプロセス化しているため、コストを抑えられています。
また、新卒採用は中途採用よりもフォローアップや研修を充実させる必要があるため、内部コストは高くなる傾向にあります。
【中途採用】営業職の平均採用単価
中途採用の平均採用単価は、以下の通りです。
従業員数 | 採用単価 |
---|---|
5,000人〜 | 78.5万円 |
1,000〜4,999人 | 108.5万円 |
300〜999人 | 83.0万円 |
〜300人 | 63.6万円 |
参考:2019就職白書
新卒の平均採用単価とは異なり、従業員が300人未満の企業が最も低く、1,000〜4,999人の採用単価が最も高くなっています。
中途採用をする場合は特定のスキルを持った人材を募集するため、求人広告や人材紹介などの外部コストが高くなる可能性があるでしょう。
営業職の採用単価を削減のためのポイント
営業職の採用単価は、以下のポイントを押さえることで削減できます。
- 人材ミスマッチの防止
- 求人広告媒体の見直し
- リファラル採用の活用
- ダイレクトリクルーティングの導入
- 無料の求人広告の利用
- 助成金や補助金の活用
- アルムナイ制度の導入
- 自社ホームページの活用
- 選考プロセスの見直し
- オンラインツールの導入
- 営業アウトソーシングの活用
効率的な採用プロセスを構築するためにも、採用単価を削減して採用活動を行いましょう。
以下では、採用単価を削減するためのポイントを詳しく解説します。
人材ミスマッチの防止
採用単価を抑えるために重要なことは、人材ミスマッチの防止です。
昨今は転職活動がカジュアルに行われていることもあり、「思っていた仕事内容と違った」「職場の雰囲気が合わない」といった理由で簡単に早期退職につながります。
このようなミスマッチによる離職は、採用にかけたコストや手間が無駄になってしまいます。そのため、採用前には必ず求職者と自社がマッチしているかを見極めなくてはいけません。
あらかじめ求めているスキルや人物像を明確化しておき、求人広告や企業説明会、面談を通して求職者に提示しましょう。
求人広告媒体の見直し
外部コストにあたる求人広告は、利用したからといって必ず成果が出るわけではありません。長期的に運用をしているにもかかわらず、思うように求職者が集まらないケースもあります。
求人広告を効果的に利用する場合は、定期的に媒体や内容の見直しを行うとよいでしょう。広告費に見合った成果が出たか、いつ掲載した広告が効果的だったのかを把握してその都度改善することで無駄なコストの削減につながります。
求人広告では、応募者の数だけではなく質も見ることが大切です。また昨今では求人媒体が多様化しているため、ターゲットに合った広告を活用する必要があります。
リファラル採用の活用
リファラル採用は、自社の従業員が推薦した求職者を活用する手法です。リファラル採用はその性質から離職率が低く、人材ミスマッチによる離職を防げます。
リファラル採用の場合、推薦者にはインセンティブを支払う必要がありますが、求人広告費や面談の人件費を省けるため、内部コストを抑えた採用活動が可能です。
リファラル採用は、新卒ではなく中途採用をメインで検討している企業におすすめの採用方法といえるでしょう。ただし大量の人材の採用には不向きで、質を重視した採用に向いています。
ダイレクトリクルーティングの導入
ダイレクトリクルーティングとは、企業が直接求職者にアプローチする手法です。具体的にはSNSでのビジネスアカウントの活用や、ダイレクトリクルーティングサービスの利用が挙げられます。
今までは求人広告を出して待つような手法が主流でしたが、有効求人倍率のデータから見られるように営業職の採用は難しくなっています。
効率的な採用プロセスを構築するためには、積極的に求職者を引き込むダイレクトリクルーティングがおすすめです。
ノウハウや工夫は必要ですが、従来の方法に比べてコストを抑えた採用活動ができるでしょう。
無料の求人広告の活用
求人広告の見直しは、外部コストの削減をするために重要なポイントです。以下、求人広告の費用をまとめてみました。
- クリック課金型:1クリック5〜1,000円程度
- 先行投資型:1週間で1〜3万円程度、もしくは4週間で20〜120万円程度
- 成功報酬型:新卒は60〜120万円程度、中途採用は年収の30〜35%程度
継続的に運用する求人広告では、コストが高くなる傾向にあります。そのため、外部コストを削減するためには、無料の求人広告を活用するとよいでしょう。
無料の求人広告には、ハローワークやげんきワーク、ジモティーやGoogleしごと検索などがあります。
またSNSにも求人募集機能があるため、広告費用を抑えたい方におすすめです。
助成金や補助金の活用
コストを抑える方法として、助成金や補助金を活用するという手もあります。厚生労働省では、事業主のために以下の制度を発表しています。
制度 | 助成額 |
---|---|
中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース) | 50〜100万円 |
中途採用等支援助成金(UIJターンコース) | 採用活動にかかった経費の一部 |
公的機関の助成金を活用できれば、実質的な採用コストを削減することが可能です。注意点として、制度にはそれぞれ条件があるため事前に確認しておきましょう。
また、受給のためには事業計画書の提出が必要となる場合が多くあります。
アルムナイ制度の導入
アルムナイ制度とは、離職した元社員を再度雇用する制度です。求人広告費や人材紹介サービスの費用を省略でき、外部コストを抑えられるというメリットがあります。
また元社員であれば自社の商材やツールなどの知識を持っているため、人材育成にかかるコストも抑えられるのです。さらに、人材ミスマッチを事前に防ぐ効果も期待できます。
外部コストだけではなく内部コストも削減できるため、効率的な採用方法といえるでしょう。
ただし既存の従業員との関係性や離職理由によっては、採用者と既存従業員双方のモチベーションの低下を招く恐れがあります。
両者が納得できる形で雇用できるように、あらかじめ擦り合わせを行うと安心です。
自社ホームページの活用
自社ホームページの活用は、求職者へのアプローチに効果的です。制限のある求人広告だけでは訴求できない、企業の魅力を押し出すことができます。ブランディングにもなるため、ホームページは積極的に改良していきましょう。
ただし、魅力的なホームページを製作するためには手間やコスト、ノウハウが必要です。上位のページに上げてアクセス数を増やすためには、SEO対策もかかせません。
手を加えたことでかえって見にくくなったり、情報が古いままだったりしてしまうと不信感を与えるため、知見のある従業員が必要です。
選考プロセスの見直し
選考プロセスを見直すことで、内部コストを削減できる可能性があります。履歴書や面談スケジュールの確認など、採用活動には複数の選考プロセスを踏まなくてはいけません。
1人あたりのコストは少なくても、応募者が増加するほどコストは増していきます。
選考プロセスを効率化させるためには、以下の施策が有効です。
- スキルシートや録画面接を活用して面接回数を減らす
- インターンからの早期採用を行う
適切な選考プロセスに改善することで、コストを抑えられるだけではなく求める人物像を再確認できるでしょう。
オンラインツールの導入
採用活動の効率化やコスト削減には、オンラインツールの導入も効果的です。企業説明会や面談にはコストがかかるため、それぞれを動画にすることがおすすめです。
企業説明会の動画を制作したり、オンライン面談を採用したりすることで以下のメリットが得られます。
- 採用担当者の人件費の削減
- 企業説明会の会場費の削減
- 遠方の求職者に対する採用機会の増加
- 求職者の交通費の削減
さまざまなコストを削減できる上、場所や時間を問わず求職者と接点を持つことが可能です。
動画制作の手間やコストはかかりますが、求職者が増えるほどコストを削減できるため費用対効果も優れているでしょう。
営業アウトソーシングの活用
人材不足の場合、営業職を採用するよりも営業アウトソーシングの活用の方がコストを削減できる可能性があります。
資料作成やテレアポなどのノンコア業務であれば、営業アウトソーシングがおすすめです。営業のプロフェッショナルが即戦力となるため、業務の効率化と業績アップを狙えます。
営業アウトソーシングもコストがかかりますが、採用する場合と比べて福利厚生費や育成費がかかりません。
相対的に見た場合、営業アウトソーシングの方が費用対効果が高いケースもあるでしょう。
まとめ
本記事では、営業職の採用単価について詳しく解説しました。
昨今は人材不足に悩む企業が多く、採用単価の削減は重要視されています。
株式会社ヴェリサイトでは、営業活動における課題を解決するアウトソーシング及びコンサルティングを行っています。
アウトソーシングで現場を直接見て分析することで、最適な営業プロセスの構築や営業パーソンの意識変革が可能です。
活動量や案件数の増加のほか、自社社員に活気が生まれ、雰囲気に変化が現れた実績もあります。
営業職の採用を検討している方は、コスト削減のためにぜひ株式会社ヴェリサイトの営業アウトソーシングをご利用ください。