企業において、利益を安定して獲得し続けるためには営業人材の習熟が重要です。
しかし、顧客のニーズが複雑化している昨今では「思うように営業成績が伸びず悩んでいる」というチームも多いのではないでしょうか。
本記事では、優秀な営業社員にするための育成計画の立て方を解説します。最後まで読み育成計画のポイントを掴めば、営業成績の改善が望めるでしょう。
営業人材の育成が必要な理由
営業人材の育成が必要な理由は、主に以下の4つです。
- 市場の成熟
- 購買行動の変化
- 営業スキルのばらつき
- 社員間でのコミュニケーション不足
営業活動には欠かせない重要な要素となるため、チェックしてください。
市場の成熟
まず1つ目の理由は、市場の成熟が挙げられます。
昨今はインターネットやSNSの普及により、顧客が気軽に情報を収集できる時代になりました。そのため、より競争力の高い商品・サービスの提供や他社とは違った提案をする必要があります。ただ商品説明をするだけの営業スタイルでは高い成果は望めません。
顧客が知っているであろう情報に加えて専門的な情報を持ち、提案によって顧客の課題を解決するソリューション営業が効果的です。
しかしこれはベテランの営業パーソンはともかく、若手や新人の営業パーソンにとってはハードルが高いといえるでしょう。
効率的に育成を実施して、短期間でソリューション営業を身に付けることが大切です。
購買行動の変化
2つ目の理由は、顧客の購買行動の変化です。
市場の成熟に伴い、顧客は以前のような「営業から情報を聞いて購入を検討する」というスタイルではなく「あらかじめ情報を得て検討している段階で営業と接点を持つ」ようになりました。
そのため、顧客との関係性をじっくり構築していくことよりも、前述したソリューション営業のスキルを持つことが求められます。
また、顧客に「契約したい」と思わせるには、マナーや身だしなみを含む人間的な魅力も必要不可欠となります。
営業スキルのばらつき
3つ目の理由は、営業スキルのばらつきです。営業人材を育成する際は、上司や先輩が実務を通して教育するOJTが一般的です。
しかし、教える側によって内容やスピード感にばらつきがあるため、必然的に教えられる側の営業人材にもスキルにばらつきが出てきてしまいます。
営業パーソンの階層に応じた教育や体系化した育成を実施し、軌道修正をしつつ全体のスキルを底上げしていくことが大切です。
社員間でのコミュニケーション不足
4つ目の理由は、意外と見落としがちな社員間でのコミュニケーション不足です。
昨今はコロナの影響もあり、飲み会などが減ってリモートワークが増えました。
以前のような上司の背中を見せて育てる方法は時代遅れであり、非対面であっても効果的な営業育成が必要になってきています。
また、上司と若手社員の関係性が希薄だと、互いの信頼性にも関わってきます。信頼性が低いと、若手社員がトラブルを起こしてしまったときに相談しにくいといったこともあるでしょう。
その結果報連相が滞り、何かあっても対応が遅れてしまう可能性が考えられます。
営業人材の育成計画の立て方
営業人材の育成計画を立てる際は、以下の手順で行います。
- 自社に必要な人物像の明確化
- 目標の設定
- 現状把握
- 必要なスキルの整理
- 教育手段の選択
- 上層部や関連部門と共有して擦り合わせを行う
各ステップについて解説するので、実際に育成計画を立ててみましょう。
自社に必要な人物像の明確化
まず、自社に必要な人物像を明確化しておくことが大切です。
理想の人物像は目標・方針を立てる際の土台になるため、最初に考えておくべきです。自社に不足している点を補う人物像を考え、明確化して共有しましょう。
なお、人物像は営業目線だけではなく、経営目線でも考えることがポイントです。将来的に会社を発展させるためには、自社の経営理念や経営方針を踏まえた上で、それに沿う人物像を考案しなければいけません。
目標の設定
次に行うのは、具体的な目標の設定です。最初のステップで明確化した人物像は最終目標であり、最終目標に到達するための目標を考える必要があります。
目標は新人や中堅などの階層によって分け「頑張れば達成できる」程度のレベルに設定します。
高すぎると一向に目標へたどり着けないためモチベーションが低下し、反対に低すぎるとすぐに達成してしまい成長につながりません。
また、目標は達成したかが曖昧になってしまわないよう、1カ月や1年など具体的な期限を決めて設定しましょう。
現状把握
目標を設定できたら、現状把握をして目標が適切であるかを判断します。現状、不足しているスキルが多すぎたり環境が整っていなかったりと、ギャップが大きい場合は目標が合っていません。
営業パーソンのモチベーションを保ちつつ成長も促すためには、適切なレベルの目標が必要不可欠です。
現状での営業パーソンのスキルやレベルを洗い出し、目標と比較しつつ達成可能であるかを検討しましょう。
必要なスキルの整理
目標を達成してもらうために、どんなスキルが必要かをリストアップします。このとき、育成の担当者だけではなく営業部全体でチェックすることで、必要なスキルを網羅できます。
ただし、必要なスキルが多すぎても育成の手が回らない上、営業パーソンにも負担をかけてしまいます。
営業パーソンにいち早く身に付けさせたいスキルを選定し、優先順位をつけましょう。
教育手段の選択
必要なスキルが整理できたら、スキルを習得するための教育手段を選択します。教育手段には、以下の種類があります。
- オンライン研修:インターネットを利用し時間や場所を問わず受けられる研修
- 体験型研修:ディスカッションやグループワークを通して学ぶ研修
- セミナー:講師による話を大人数で一斉に聞いて学ぶ研修
- 外部コンサルティング:プロのコンサルタントに課題を踏まえた上で研修を依頼する
それぞれ合う業種やメリット・デメリットが異なるので、比較検討した上で選ぶようにしましょう。
上層部や関連部門と共有して擦り合わせを行う
最後に、上層部や関連部門に育成計画書を共有し、擦り合わせを行います。
育成計画書はあくまで営業部で作成したものであるため、経営的な視点が入っていない可能性があります。
「目標の数値や期限が適切であるか?」「自社のビジョンと合っているか?」などをくまなくチェックしてもらいましょう。
指摘を受けた場合修正をして、よりよい育成計画書に仕上げていきます。
育成計画書の記入例
ここでは、具体的な育成計画書の記入例をご紹介します。3パターンご紹介するので、自社に合った形式で作成してみてください。
1つ目は、最もシンプルなパターンです。年数ごとに習得しておきたいスキルを記入し、育成に活用します。
スキル | |
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5年 |
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3年 |
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2年 |
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1年 |
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2つ目は、レベルとスキルを細分化したパターンです。各レベルにおける教育手段・育成方法を記入することでより充実します。
入社〜1年 | 1年〜2年 | 2〜3年 | 3〜5年 | |
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管理スキル |
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営業スキル |
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ビジネススキル |
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3つ目は、達成目標や指導内容を盛り込んだパターンです。目標やテーマと育成結果がずれていないかを逐一確認することができ、軌道修正がしやすくなります。
半年後 | 1年後 | 1年半後 | 2年後 | |
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育成テーマ | ||||
達成目標 | ||||
指導内容 | ||||
育成結果 |
効果的な教育手段
営業人材の教育手段は、以下の3つが効果的です。
- OJT
- 外部研修・セミナー
- 営業コンサルティング
それぞれの特徴を解説するので、自社に合った教育手段を選択しましょう。
OJT
OJTは、上司や先輩が後輩に実務を通して指導する教育手段です。商談に同行させたり資料を作成させたりと、日々の業務をこなしてもらいます。
現場での活動を見て学ぶことで、若手社員でも即戦力になりやすいところがメリットです。
ただし前述したように、OJTは属人化しやすいというデメリットも付随します。各指導者の教え方にばらつきが出ないよう、責任者と連携して進めることがOJTを成功させる秘訣です。
外部研修・セミナー
外部研修やセミナーは、営業におけるプロフェッショナルからの指導を受ける教育手段です。
研修内容は役職やレベルで分かれており、新人だけではなく中堅や管理職も社内では得られなかった新しいノウハウを手に入れることができます。他企業の人も多く参加するため、モチベーションの向上につながるところもメリットです。
なお、研修内容は座学以外にロープレなどの実践的な内容も組まれていると身につきやすいです。また、あらかじめ作成されたカリキュラム通りではなく、業界や企業によって自由にカスタマイズできる研修内容の方が、実績につながりやすいといえます。
営業コンサルティング
営業コンサルティングは、外部の営業コンサルタントに育成を任せる教育手段です。
現状をヒアリングした後にカリキュラムを組み、客観的かつプロの視点で目標達成を妨げている要因を解消してくれます。
自社に育成のノウハウがなくても効率的にスキルアップできる上、営業プロセスの標準化もできるところがメリットです。
営業コンサルティングを活用する際は、ノウハウを共有・蓄積してもらえるようにするとよいでしょう。
優秀な営業人材を育てるポイント
最後に、優秀な営業人材を育てるためのポイントをご紹介します。
- 営業プロセスの可視化
- 個人の成果の可視化・適切な評価制度
- 優秀な営業パーソンの特徴を抽出
- 育成計画のPDCAサイクルを回す
営業人材の育成計画を立てるときは、上記のポイントを踏まえて実施しましょう。
営業プロセスの可視化
営業プロセスの可視化は、PDCAサイクルを回す上で欠かせないポイントです。
営業活動には、アポイント獲得・ヒアリング・資料作成・提案・クロージングと複数のプロセスがあります。営業成績に伸び悩んでいる社員は、営業プロセスのどこかに問題がある場合がほとんどです。
営業プロセスを細かく可視化していくことでボトルネックの発見につながる他、標準化も望めるでしょう。
個人の成果の可視化・適切な評価制度
個人の成果の可視化や適切な評価制度を設けることは、営業パーソンのモチベーションアップを促します。
ここで大切なのが、定量評価だけではなく定性評価も盛り込むことです。
成長していても、すぐに数字に表れない営業パーソンもいます。数値だけではなく「前よりもこれができるようになった」というポイントを評価することで、成長を実感させることができます。
定期的に適切な評価をすることで、モチベーションや生産性の向上が見込めます。
優秀な営業パーソンの特徴を抽出
優秀な営業パーソンの特徴を抽出することは、営業部のスキルアップに役立ちます。
優秀な営業パーソンには、以下のような共通点があります。
- 向上心があり情報収集を欠かさない
- さまざまな仮説を持って万全に資料を用意している
- 専門用語を多用せず誰にでも分かりやすく話している
ツールを用いて特徴やノウハウを共有することで、営業部全体のスキルの底上げが可能です。
育成計画のPDCAサイクルを回す
育成計画は、立てて実行するだけでは十分な効果は望めません。行動している内に進んでいる方向が目標とずれてしまうこともあるため、適宜PDCAサイクルを回し軌道修正を行う必要があります。
PDCAサイクルにおいて重要なのは、ただ指導者が次の策を指示するのではなく、営業パーソンに自ら考えさせることです。
自身の成果を踏まえて「どこのやり方が悪かったのか」「優秀な営業パーソンと違うところはどこか」「次はどうするべきか」を考えさせることで、自主的にPDCAサイクルを回し、成長できるようになります。
まとめ
本記事では、営業の育成計画の立て方を解説しました。
移り変わる時代の中、臨機応変に対応できる営業パーソンを育てることは会社にとって重要なポイントです。
株式会社ヴェリサイトでは、営業チーム全体の底上げができる営業コンサルティングを実施しています。
ヒアリングと現場での分析をもとに営業プロセスやツールを最適化し、新人や若手の営業パーソンでも成果を上げやすい営業体制に整えます。また、カスタマイズ研修により業界・企業ごとに合った内容の研修を実施することが可能です。
営業人材の育成でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。