「売上が伸び悩んでいるため、自社の営業課題を特定したい」
「よくある営業課題とその解決策を把握しておきたい」
営業部門の管理職をされていると、上記のように考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、営業部門が直面しがちな7つの課題と解決策を解説します。
また、これらの課題を見つけるための方法と課題解決に適したフレームワークもご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
営業部門が抱える7つの課題と解決策
本章では、営業部門が抱える7つの課題とその解決策を解説します。
よくある課題として挙げられるのが以下7つです。
- 新規開拓をうまく進められない
- 業務が属人化している
- 組織力を活かした提案活動を行えていない
- 営業成績の個人差が大きい
- 顧客管理が不十分で顧客情報を活かせていない
- 人材育成ができていない
- 営業のための時間が確保できていない
それでは詳しく見ていきましょう。
課題1.新規開拓をうまく進められない
まず営業部門が抱える課題の1つとして、新規開拓がうまくいかないという問題が挙げられます。
以下では、新規開拓が進まないことによって起こりえる問題と解決策を見ていきましょう。
新規開拓が進まないことにより起こる問題
新規開拓は、会社にとって事業の成長や存続に直結する重要な活動の1つです。
新規開拓がうまくいかないと、新しい顧客や市場を開拓することができず、既存顧客からの売上に依存することになるため、会社の成長に必要な新しい収益源を生み出せなくなります。
また、景気に左右されやすくなるという問題も生じます。
景気が好調なときには顧客からの需要が高まり、既存のビジネスモデルにもとづく提案活動によって利益を出すことができるでしょう。
しかし、景気が悪化し顧客の購買力が低下した場合、売上が大幅に減少するリスクがあります。
このような状況で新規開拓ができていないと、会社の収益が大きく落ち込むことになります。
そのため、新規開拓は会社の将来において重要な戦略であり、景気変動に左右されない安定した経営を目指す上でも必要不可欠です。
新規開拓の課題解決策
新規開拓は会社が安定した収益を上げ続けるために重要だとお伝えしましたが、手当たり次第に行えばよいというものではありません。
新規開拓を成功させるには、まずターゲット顧客を明確にしましょう。
自社が提供する商品・サービスに関心があり、必要としている可能性が高いと思われる顧客を特定し、そこにフォーカスすることが重要です。
ターゲットが明確になったら、次は顧客へのアプローチ方法を選定します。
例えば、DMやテレアポ、SNSの活用などが挙げられます。
アプローチ方法はターゲットとなる顧客層や自社の商品・サービスによって異なるため、よく検討することが必要です。
アプローチ方法が決まったら、適切なKPIを設定し実際に顧客への提案活動を開始しましょう。KPIを設定することで、目標に対しての進捗度合いを可視化できるため、問題が発生した場合に早期に原因を発見し、適切な対策を講じることができます。
このように、新規開拓をうまく進めるためにはターゲット顧客の明確化、アプローチ方法の選択、KPI設定が重要です。
課題2.業務が属人化している
営業部門が抱える課題として「業務の属人化」も挙げられます。
以下では、営業業務の属人化によって起こる問題と解決策を具体的に解説します。
属人化によって起こる問題
業務の属人化とは、ある特定の業務において、その業務を行っているメンバーしかやり方が分からず、他のメンバーでは代替が利かない状態を指します。
この状態になると、業務の効率化や人員配置の柔軟性が損なわれ、業務上のリスクが高まる可能性があります。
業務が属人化することで起こる問題は主に以下が挙げられます。
- 営業ノウハウが社内に蓄積していかない
- 営業成績が個人のスキルに左右される
- ミスやトラブルに気付きにくい
- 引き継ぎが難航する
- PDCAを回せない
このように、業務の属人化はチームワークや知識共有の妨げになり、結果的に会社全体の成長に悪影響を及ぼすことがあります。
属人化の課題解決策
業務の属人化を防ぐためには、業務の手順や方法を定め組織全体で共有し、一定の基準に沿って業務を遂行することが大切です。
具体的には、業務のプロセスやルール、ノウハウをマニュアル化するという方法が挙げられます。
業務マニュアルを作成し共有することで、業務の標準化が図れるだけでなく、担当メンバーが退職するといった場合でもスムーズな引き継ぎが可能になります。
また、組織全体としてメンバー同士が情報共有しやすい環境を整備することも重要です。
情報共有ができるようになれば、誰がどの業務を担当しているか、どのような作業を進めているかなどを把握でき、業務効率化ができます。
課題3.組織力を活かした提案活動を行えていない
営業部門が抱える課題には「組織力を活かした提案活動を行えていない」という問題もあります。
以下では、組織力を発揮できないことで起こる問題と解決策を見ていきましょう。
組織力を発揮できないことで起こる問題
組織力とは、組織が団結することで発揮する力のことを指します。
提案活動においてこの組織力が発揮できていないと、コミュニケーション不足やタスクの重複、役割の不明確さが生じ、営業部門全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。
また、組織力が低下している場合、チーム内での連携が不十分になるため効率的な提案活動が行えなくなります。
組織力を活かすための課題解決策
組織力をうまく活かすためには、インサイドセールスを導入するなどして、営業業務の分業化を図ることが効果的です。
これによりフィールドセールスは、確度の高いリードのみを引き継ぎ、提案やクロージングに集中できるため組織全体としての売上向上が期待できます。
このように、適切な役割分担のなかで、全員が同じ目標に向かって協力し合うことで効果的な提案活動が実現されるでしょう。
なお、業務の分業化を図るには、SFAなどの営業支援ツールを活用した情報共有が重要です。
課題4.営業成績の個人差が大きい
営業部門が抱える課題に「営業成績の個人差が大きい」ことも挙げられます。
以下では、営業成績のバラつきにより起こる問題と解決策を見ていきましょう。
営業成績のバラつきにより起こる問題
営業成績にバラつきがあると、組織内で特定のメンバーに売上が集中するため、優秀な成績を残しているメンバーに依存してしまう傾向にあります。
しかし、特定のメンバーに売上が偏ってしまうと、その人が休職・退職した場合に組織全体の売上が落ち込む恐れがあります。
さらに、個人の成績に重点を置く傾向が強いことで、メンバー間のモチベーションに格差が生じ、売上低下につながることも考えられます。
営業成績のバラつきの課題解決策
メンバー個人の成績のバラつきをなくすには、成果を上げている優秀なメンバーのスキルやノウハウを社内で共有できる仕組みづくりが大切です。
これまでの成功パターンだけでなく失敗パターンも共有し、メンバー全員が確認できるようにしておくことで、同じミスを繰り返すことなく効率的に提案活動を進められます。
また、一人ひとりの営業プロセスを可視化し分析することも重要です。
成果を上げているメンバーと比較し、どこに違いがあるのかを分析することで、ボトルネックとなっている部分を明確にします。
これにより、具体的な改善策を検討できるため、営業力の底上げが期待できるでしょう。
課題5.顧客管理が不十分で顧客情報を活かせていない
営業課題の中には「顧客管理が不十分で顧客情報を活かせていない」という問題もあります。
以下では、顧客情報の管理・活用不足により起こる問題と解決策を見ていきましょう。
顧客情報の管理・活用不足により起こる問題
顧客情報の管理が適切に行われていない場合、社内での引き継ぎがスムーズに行えないといった問題が発生します。
担当していたメンバーの異動や退職などがあった場合、新しい担当者は顧客情報やこれまでのアプローチ履歴を把握しなければなりません。しかし、顧客情報の管理が不十分だと引き継ぎに時間がかかってしまい、業務の停滞や遅延を引き起こすリスクがあります。
また、顧客情報を有効活用できていないと、売上に直結する機会を逃す可能性もあります。
顧客情報は顧客の属性や購買履歴などが含まれており、これらの情報の適切な活用で、提案活動において効果的なアプローチが可能になります。
しかし、顧客情報の管理が不十分で有効活用できていない場合、クロスセルやアップセルの提案機会を損失するだけでなく、競合他社に取引が流れてしまう恐れがあります。
顧客情報管理・活用の課題解決策
顧客情報を上手に管理し有効活用するためには、SFAやCRMなどの営業支援ツールの導入を検討しましょう。
SFAは主に営業活動を効率化するためのツールです。
顧客情報はもちろん、アプローチ履歴や商談の進捗状況など、あらゆる情報を一元管理し、提案活動の効率化や業績管理のために活用されています。
一方、CRMは顧客関係管理のための総合的なツールです。
顧客との関係強化を目的とし、マーケティング戦略やカスタマーサービスなど顧客中心の活動を支援します。
顧客情報は会社の財産であり、うまく活用できれば大幅な売上向上が期待できるため、自社の目的に合った最適なツールを選択しましょう。
課題6.人材育成ができていない
営業部門が抱える課題には「人材育成ができていない」という問題も挙げられます。
以下では、人材育成不足により起こる問題と解決策を見ていきましょう。
人材育成不足により起こる問題
人材育成は、組織の成長や競争力を高めるために必要不可欠な要素です。
人材育成ができていないと、メンバーの営業スキルがいつまでたっても上がらず、業務の効率性や品質が低下し、結果的に組織全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
また、人材育成に関するマニュアルが用意されていない場合、各メンバーの成長ペースにばらつきが生まれ、営業能力に個人差がでてしまうリスクもあります。
人材育成不足の課題解決策
人材育成には多大なコストや時間、工数がかかるため、人材育成に割くリソースが不足しているという会社も少なくありません。
このように、自社内で教育環境が整っていない場合は、外部の専門家やコンサルタントを招いて営業スキルの研修やワークショップを実施するのがおすすめです。
専門家の力を借りることで、より効果的な人材育成が実現されるため、メンバーのスキルや能力向上が見込めます。
また、自社に合った研修カリキュラムを作成してもらうことも可能です。
課題7.営業のための時間が確保できていない
営業部門が抱える課題には「営業のための時間が確保できていない」という問題もあります。
以下では、営業のための時間が確保できていないことにより起こる問題と解決策を見ていきましょう。
営業のための時間が確保できていないことにより起こる問題
営業は顧客との商談だけにとどまらず、提案書の作成や見積書作成、報告書作成など、膨大な業務をこなさなくてはいけません。
業務時間の大半を事務作業に使っており、肝心の提案活動に十分なリソースを割けていないことが多いのが現実です。
このように、営業のための時間が確保できないと、新規顧客の獲得や既存顧客の売上拡大が困難になり、売上が伸び悩むといった問題が起きます。
また、業務過多により営業のための時間が圧迫されると、時間的な制約のなかで急いで業務をこなす必要があるため、顧客とのコミュニケーションがおろそかになってしまうリスクもあります。
営業のための時間が確保できていないことの課題解決策
営業のための時間を確保するためには、営業代行サービスの活用や業務効率化を図れるツールの導入を検討しましょう。
まず、営業代行サービスの活用で、一部の業務を外部の専門業者に委託可能です。
例えば、テレアポ業務を代行会社に委託すれば、営業メンバーは提案活動に集中できます。
また、SFAやCRMなどの支援ツールの導入で、営業のための時間確保と業務効率化を同時に実現できます。
SFAやCRMについては顧客情報管理のところで触れましたが、詳しい内容が知りたい方は以下よりご覧ください。
営業課題の見つけ方|目標と現状のギャップに着目しよう
営業課題を見つけるためには、自社の目標と現状を比較した上で、そのギャップの特定が大切です。
ギャップが特定できれば、どの部分に課題があり、どのように改善すべきかを明確にできます。
例えば、現状の売上が850万円の会社が、1000万円の営業目標を設定していたとしましょう。この場合、現状と目標の差である150万円、すなわち既存売上の17%強がギャップということになります。
ギャップが特定できたら、次はどの部分に課題があるか、つまり売上に17%のギャップが生じた原因はなにかを明確にしなくてはいけません。
売上にギャップが生じる原因はさまざまですが、例えば営業プロセスの問題や営業人材の不足、顧客リピート率の低下などが挙げられます。このように、原因となりえる要素をできるだけ多く洗い出すことでどの部分に課題があるのかが見えてくるでしょう。
目標と現状を比較しギャップを分析すれば課題を見出すことができ、具体的な解決策を検討できます。
具体的な解決策の導き方については、次章のフレームワークで解説します。
課題解決に適したフレームワーク|ロジックツリー
ロジックツリーは課題を解決するためのフレームワークであり、主に「Whyツリー」「Howツリー」「Whatツリー」の3種類があります。
本章ではこの3つの種類について、それぞれの特徴と具体的な活用方法をご紹介します。
原因研究の「Whyツリー」
Whyツリーは主に問題の原因を探り、なぜその課題が発生しているのかを追求するためのフレームワークです。
具体的な問題を分析し、その背後にある根本的な理由を明らかにすることで、課題解決に向けたアクションを起こしやすくします。
例えば「売上が伸び悩んでいる」という課題を抱えていたとしましょう。
この場合、以下のような追求ができます。
課題:売上が伸び悩んでいる
【なぜ?】新規顧客獲得が十分に行われていない
【なぜ?】顧客へのアプローチ方法が適切ではない
【なぜ?】ターゲット顧客のニーズを把握できていない
このように「なぜ?」を繰り返すことで、根本的な原因を特定できます。
問題解決の「Howツリー」
Howツリーは、問題解決のための具体的な手段や方法を探るために活用されるフレームワークです。
課題の原因に対して、どのような方法で解決できるのかを考えるときに役立ちます。
ここでは、上記のWhyツリーで特定した原因を例に考えてみましょう。
問題の原因:新規顧客獲得が十分に行われていない
【どのように解決できる?】社員の営業力を強化する
【どのように解決できる?】営業一人ひとりの営業プロセスを可視化し分析する
【どのように解決できる?】SFAなどの営業支援ツールの導入を検討する
このように「どのような方法で解決できるか?」を問いかけることで、解決策を導けるようになります。
要素分解の「Whatツリー」
Whatツリーは物事の要素を細かく分解していき、選択肢を網羅的に把握する際に活用されるフレームワークです。
例えば、メンバーの能力・スキルに悩んでいる場合を考えてみましょう。
要素:メンバーの能力・スキル
【コミュニケーション能力】説得力、傾聴力、表現力、意思伝達力
【課題発見能力】問題分析能力、観察力
【論理的思考能力】傾聴力、発想力
このように、大きな要素を細かく分解していくことで、さまざまな能力・スキルが存在することが分かります。
営業課題の解決に|営業コンサルや営業代行サービスを活用しよう
営業課題の解決には、営業コンサルティングや営業代行サービスの活用がおすすめです。
営業コンサルティング会社に依頼した場合、経験豊富なコンサルが自社の営業戦略を見直し、改善策を提案してくれます。
営業プロセスの最適化や効果的な営業手法の導入など、専門知識と経験にもとづくアドバイスを受けることができます。
また、営業代行サービスでは、外部の営業部隊が自社の代わりに提案活動を行ってくれます。
顧客リストの作成やアポイント獲得、商談のサポートなど自社の課題に合わせて、提案活動の一部または全ての委託が可能です。
まとめ
本記事では、営業部門が抱える課題とその解決策を細かく解説しました。
会社によって営業課題はさまざまですが、課題を1つずつ解決できれば、組織全体としての売上向上が期待できるでしょう。
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